びよんどネットおたより 2017年5月第24号より転載【4】--ニュースで「生活保護を考える」(その3)2017年06月26日

 〈ニュース拾い読み〉

〇生活保護世帯、2ヶ月連続で減少 高齢者世帯は過去最多  (2017.5.10 朝日新聞)
今年2月に生活保護を受けた世帯は前月より516世帯少ない163万8944世帯だった、と厚労省が発表した。しかし、65歳以上の高齢者世帯は230世帯増の83万9073世帯で、過去最多を更新した、というニュース。ほぼ1年前に

〇生活保護、高齢者世帯が初めて5割超える 厚労省発表(2016.6.1 朝日新聞)
生活保護制度ができた1950年以降で初めて「高齢者世帯」の割合が50.8%となり、半数を超えた、とのニュースがあったが、低年金・無年金の高齢者が増え続けているのを背景に、この1年間で高齢者世帯が増え続けていることがわかる。厚労省の担当者は「高齢者が貧困に陥らないよう対策の検討が必要」とNHKニュース(昨年12.7)で語っていたが、その直前(昨秋)のいわゆる「年金カット法」強行採決など、安倍政治は残念ながら逆方向を向いている。

ちなみに、データが少し古くなるが昨秋発表の三鷹市の最新の統計資料では、2015年度の生活保護世帯数の内、高齢者世帯は46%。ただし、過去5年間の増加率を調べると、保護世帯数全体の増加は103%なのに比して、高齢者世帯数の増加は126%となっていて、増える勢いが突出していることがわかる。―― 一方こんなニュースも。

〇ホームレスの平均年齢60歳超す 10年以上が3割  (2017.4.5朝日新聞)
厚労省が「ホームレス自立支援特別措置法」に基づいて5年に1度実施しているホームレスの人の実態調査で、平均年齢が初めて60歳を超えた。今回の調査は4回目で昨年10月に路上で生活する約1300人に面接方式で尋ねた調査の結果だ。また、10年以上路上生活が続いている人の割合は34.6%となっている。??私たちびよんどネットは今年で10年目を迎える。これまで生活保護を申請し、屋根のある暮らしを始めるための支援をした人達は、およそ90名。生活保護の申請には至らなくても、何らかの支援、交流をして名前やニックネームで呼び合えるようになった野宿の当事者とOBは、その倍ほどにはなるだろう。

近年、若い人たちが増えているとはいうものの、私たちの経験でも、この10年間の公園回りで出会った人はやはり60代が4割で最多となっている。

―― こうしたなかで、ちょっと気になるニュース。
〇「ホームレス自立支援特別措置法」8月で期限切れ 失効か(2017.5.4産経ニュース)
国や自治体の責務を規定した同法は時限立法だが、政局にまみれた国会の6月閉会までに延長の声が上がらず失効の恐れがある、というニュース。ホームレスの人たちにとどまらず、すべての人間にとって生活の基盤である住宅を保障する政策が進まない中、ホームレスへの対応に国の責務を明記する法律もなくなるというのでは、より困難な状況の人が路上に残されて行くことになるのでは、と危惧される。


びよんどネットおたより2017年5月 第24号より転載【3】ーーニュースで「生活保護」を考える(その2)2017年06月25日

貧困ビジネスの宿泊所に 賠償命令 ― 埼玉地裁で画期的判決 ―
              規制強化より「公共住宅」の拡充を!

埼玉地裁は3月1日、埼玉県戸田市の宿泊施設(寮)の元入居者が、寮を経営する業者に損害賠償を求めた訴訟の判決で、この寮が、「生活保護法の趣旨に反し、違法性が高い」として、業者に対して約1500万円の支払いを命じた。貧困ビジネスの違法性を認め、賠償を求めた初めての画期的な判決だ

生活保護を受ける人々が多く入る無料低額宿泊所に対しては、これまでもさまざまな批判がなされてきた。この種の施設では、十分な避難路も防火装置も備えられていないため火災事故で多くの人々が亡くなるという悲惨な事故もあとをたたない。今回、訴えられた寮が特別なわけではなく、その劣悪な実態は、基本的に貧しい人々を食い物にする貧困ビジネスそのものであるということは、寮に入ったことのある人たちにとっては周知の事実である。

人権無視の寮がなぜ放置されてきたのか?それは、国や自治体自身が、寮の「ブラック」的実態を知りながらも、寮を「活用」してきたからである。特にホームレスの人々が生活保護を申請すると、今なお多くの自治体では、アパート入居の希望を認めず、まずは寮に入れることが多いのだ。「生活扶助は被保護者の居宅において行うものとする」という、生活保護法第30条①の原則は無視されている。

最近、厚労省は、無料低額宿泊所の規制を強化する方針を固めた、との報道があった(2017.5.11毎日新聞)。2018年の通常国会で、行政から寮に対する改善命令などを可能にする法改正を目指すとしている。しかし、国や自治体がこの種の施設を前述のように「活用」している以上、「改善命令」で問題にメスが入るとは思えない。むしろ、根本的な問題は、ホームレスの人に限らず住宅確保に困難を抱える人たちに提供できる公共住宅が少なすぎることである。

今こそ空き家の活用も含めた公共住宅の拡充という住宅政策が必要なのだ。4月19日の改正住宅セーフティーネット法の成立を契機に、改善が図られるよう働きかけが必要だ。ブラック宿泊施設の横行は、貧困な住宅政策の裏返しなのだから。

おおにぎわいのオープン事務所2017年06月24日

きのう(23日)のオープン事務所はおおにぎわいでした。このところ、オープン事務所で食事・洗濯をする人は6-7人で定着していたのですが、きのうは8人。その人数になると、和室の座卓ひとつでは足りず、食事会の時に使うテーブルを出しました。食事作りも大変だったと思います。シェフ役のKさん、Mさん、Yさん、ありがとうございました。


びよんどネットおたより 2017年5月 第24号より転載【2】ーーニュースで「生活保護」を考える(その1)2017年06月18日

“生活保護世帯数の増加が今月も記録を更新”などと毎回流されるニュースが毎日の生活の苦しさにあえぐ人々の頭と心に、どんな風に受け止められていくのでしょう。――テレビや新聞で流されるニュースを、改めてとらえ直して考えてみたいと思います。
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その1)小田原市「ジャンパー問題」に関する検討会で見えた可能性

 今年1月16日、小田原市の生活保護担当の職員たちが2007年に「保護なめんな」という文字の入ったジャンパーなどを作り、それを着て保護利用者を訪問していたことがわかりました。胸のエンブレムには「HOGO NAMENNA」と書かれ、背中には「SHAT  TEAM  HOGO」の文字と、英文で「我々は正義である。彼らの不正を見つけ、追いかけて罰する。彼らが不正な利益のためにだまそうとしたら、こう言おう。“彼らはクズだ!”」と印刷されていました。

ちなみにSHATはS(生活)H(保護)A(悪撲滅)T(チーム)の略語です。生活保護担当部門の職員が、生活保護利用者全員に不正受給の疑いをもっていたのではないか、との声も上がり、行政としての基本姿勢と、福祉事務所(生活保護担当部門)の体質が深刻に問われる事態へと発展しました。

これまでも生活保護利用者の人権を守っていないと、批判を受けた自治体はありましたが、それに積極的に対応して動いた自治体はほとんどありませんでした。ところが今回、小田原市の取り組みは真剣かつ迅速でした。全庁的な課題と位置づけ、慶応大学教授井出栄策氏を座長に、生活保護の元利用者、生活保護の権利を訴えてきた弁護士、先進的な就労支援を行う釧路市元職員などの参加を得て、検討会を設けました。井手氏は弱者を生まず、誰もが安心して暮らせる社会を作るために積極的な発言をしている学者です。また、生活保護の利用経験者を検討会に加えたケースは過去になく、非常に画期的でした。

検討会では「全国の生活保護利用者、地域で生きるすべての人々のよりよい暮らしへの『反転攻勢』のチャンスにしたい」という観点から議論が行われました。そして、職員の意識に焦点を当て、「人間の尊厳を守り、それが組織改革、生きる価値のある社会の実現につながる可能性を示したい」という意気込みでまとめた提言と改善案からなる報告書を4月末に発表、1年後に進み具合を検証することになっています。

生活保護に対する根強い偏見の中で、小田原市に限らず、全国どこの自治体でも生活保護担当部門は不人気といわれ、時として市民からの批判の矢面に立たされます。その現実から目をそむけずに、生活保護担当部門と職員が生活保護利用者の権利を守るための仕事ができるようにするために、小田原市の経験を役立てることが求められています。

6月10日食事会の料理作り2017年06月12日

6月10日の定例食事会メニューはカレーライス。狭い事務所で手分けして、カレーとサラダを作りました。オープン事務所に来るホームレスの人が7人と今までで一番多くなっています。その結果、食事会参加者も17人と増え、カレーもたくさん作りました。