びよんどネットおたより2017年5月 第24号より転載【3】ーーニュースで「生活保護」を考える(その2)2017年06月25日

貧困ビジネスの宿泊所に 賠償命令 ― 埼玉地裁で画期的判決 ―
              規制強化より「公共住宅」の拡充を!

埼玉地裁は3月1日、埼玉県戸田市の宿泊施設(寮)の元入居者が、寮を経営する業者に損害賠償を求めた訴訟の判決で、この寮が、「生活保護法の趣旨に反し、違法性が高い」として、業者に対して約1500万円の支払いを命じた。貧困ビジネスの違法性を認め、賠償を求めた初めての画期的な判決だ

生活保護を受ける人々が多く入る無料低額宿泊所に対しては、これまでもさまざまな批判がなされてきた。この種の施設では、十分な避難路も防火装置も備えられていないため火災事故で多くの人々が亡くなるという悲惨な事故もあとをたたない。今回、訴えられた寮が特別なわけではなく、その劣悪な実態は、基本的に貧しい人々を食い物にする貧困ビジネスそのものであるということは、寮に入ったことのある人たちにとっては周知の事実である。

人権無視の寮がなぜ放置されてきたのか?それは、国や自治体自身が、寮の「ブラック」的実態を知りながらも、寮を「活用」してきたからである。特にホームレスの人々が生活保護を申請すると、今なお多くの自治体では、アパート入居の希望を認めず、まずは寮に入れることが多いのだ。「生活扶助は被保護者の居宅において行うものとする」という、生活保護法第30条①の原則は無視されている。

最近、厚労省は、無料低額宿泊所の規制を強化する方針を固めた、との報道があった(2017.5.11毎日新聞)。2018年の通常国会で、行政から寮に対する改善命令などを可能にする法改正を目指すとしている。しかし、国や自治体がこの種の施設を前述のように「活用」している以上、「改善命令」で問題にメスが入るとは思えない。むしろ、根本的な問題は、ホームレスの人に限らず住宅確保に困難を抱える人たちに提供できる公共住宅が少なすぎることである。

今こそ空き家の活用も含めた公共住宅の拡充という住宅政策が必要なのだ。4月19日の改正住宅セーフティーネット法の成立を契機に、改善が図られるよう働きかけが必要だ。ブラック宿泊施設の横行は、貧困な住宅政策の裏返しなのだから。

コメント

トラックバック