猛暑の中、脱水症状、熱中症で入院2017年07月17日

7月7日と8日の公園回りで、井の頭公園で初めて会った人がいます。7日に渡したパンに手を付けていないので、話を聞くと、6月初めからほとんど何も食べていないとのこと。吐き気がしてふらふらするというので、熱中症ではないかと疑いました。そして、10日に三鷹市役所に特別診療券を出してもらい、小金井市の桜町病院を受診しました。

桜町病院では診察結果を聞く前に、処置室で点滴を開始、そのまま入院になりました。特別診療券は入院では使えないので、本人の同意の下に三鷹市役所に生活保護を申請、生活保護での入院になりました。心臓に大きな持病を持っている人なので、心配しましたが、その後経過は順調で、点滴も外れ、食事も少しずつ食べることができるようになりました。

猛暑の中、普通に生活していても、熱中症になる人がたくさんいます。1月近くもものをほとんど食べないまま、身体が弱った状態で体力がなくなれば、若くても熱中症になる可能性があります。今回は偶然、私たちが公園回りで出会い、本人が思いきって診察を受けることを決断して、病院ですばやく治療を受けられたため、ことなきを得ました。そのままの状態であと何日か過ごしていれば、危なかったかもしれません。路上での生活が命の危険と隣り合わせであることを改めて実感させられました。

いつも特別診療券で制約を設けずに診察して下さる桜町病院の皆さんにも心より感謝いたします。ありがとうございました。

毎年恒例の「ボーナスパック」を配りました2017年07月09日

昨日(8日)は、7月の定例食事会と公園回りでした。公園回りでは、蚤の市の売上げなどを元に、毎年恒例のボーナスパックを作り、野宿している人たちに配りました。配ったものはシャツ、パンツ、靴下、虫除けスプレー、かゆみ止め、ポカリスエット、蚊取り線香、タオル、ティッシュです。

公園回りの途中で、おとといのパン配達で初めて出会った人と会ったので、これからのことを相談しました。4月頃から野宿しているということで、役所・病院が休みのため、週明けから一緒に動きます。

びよんどネットおたより 2017年5月第24号より転載【6】ーー野宿の人の自転車、狙われる2017年07月06日


今年の1月下旬に、びよんどネットのオープン事務所にも長い間通ってきているAさんの自転車がいたずらされるという事件がありました。

この地域の路上暮らしの人たちの多くは、テント暮らしではなく、日中は荷物を持って移動しながら過ごし、夜に寝場所にしている公園などに戻ってくる、というスタイルですから、日中はどうしても大きな荷物を自転車に積み込んだり、肩に担いだりしながらの移動を強いられます。大荷物を積んだ彼らの自転車は、街の中でも人目につきやすい自転車といえるかもしれません。その自転車が狙われました。

武蔵野市中央図書館前に駐輪していたAさんの自転車が何者かによって、前輪のフレームやブレーキ固定板などがねじ曲げられたり、タイヤの虫ゴムが引き抜かれて空気が抜かれたりした上に、後部荷物部分を中心に火災が発生するという事件が起きました。幸い消火が早く、人的な被害や図書館施設への被害がなかったのが不幸中の幸いでした。

びよんどネットではその後Aさん本人と共に武蔵野警察署に対して、目撃者を探すなど充分な捜査をすることや、悪質ないたずらや攻撃から路上生活者の安全を守るために万全を期すこと、を求める申し入れ行動を行いました。残念ながら事件の真相はいまだに明らかにはなっていません。

びよんどネットおたより 2017年5月 第24号より転載【5】ーーびよんど あの人 この人 ◆Hさん◆我が忘れえぬ日 木枯らしとビッグイシュー2017年06月27日

  晩秋の 影長くして 駅頭に           
  ビッグイシュー  朝もやに立つ     
 
2016年 秋の終わり。忘れもしない11月15日。
男は早朝の中央線駅前に立つ。冬の訪れを告げるかのような冷たい風が枯れ木立を揺らす。
雑誌販売者に支給された赤いベストに木枯らしが吹きつける道の傍らで
販売初日の幕が上がる。

雑誌を掲げて立ち尽くす男の前を、足早に通り過ぎる通学、通勤者の群れ。
この場所でビッグイシュー販売をしていた前任者が、体調を崩して身を引いた後
男はこの仕事を引き継いだ。

この駅を利用する馴染み客が沢山いるので、雑誌は間違いなく売れるはずだと
前任者は言っていた。
しかし、早朝から売り始めて2時間、買ってくれる人はおろか立ち止まる人さえいない。
“話が違うじゃないか”と 苛立ちが募ったその時、眼の前を年配の二人連れが
ゆっくりと通り過ぎる。

しばらく歩いた後、連れの女性が振り向いて微笑みながらこちらに戻ってくる。
「それ、売っているの?」静かな落ち着いた声で女性が問いかける。
「はい、、、350円です、、、」緊張のあまり男の声はかすれ
手にしている雑誌をそっと差し出す。
「寒くなって来たから、身体に気を付けてね」と言いながら代金を払い
後を何度も振り返りながら立ち去る女性。
“売れたぁ、、、”上気した男の頬を晩秋の冷たい風が撫でていく。

―30代前半、大きな身体で販売初日の思い出を、にこやかに語るHさん。
「あの一日は忘れられませんね。あの時女性があんな風に雑誌を買ってくれなかったら
そのまま直ぐに販売を止めて帰ってきましたよ。寒かったし、二度と駅頭に立つ事も
無かったでしょう、、、、」

大学を出て就職した会社で上司からの理不尽なパワハラに悩まされ続け
5年間勤めた会社を辞めてしまう。

それから実家に帰っても両親に会社を辞めた理由を話す事が出来ぬまま、直ぐに家を出る。
ネットカフェやカプセルホテルで寝泊まりしながら先行きを思案するうちに
所持金もさみしくなり求人誌をたよりに職探し。

車の運転が好きなので、風俗店のドライバーの仕事をする事に。
持ち前の愛想の良さと律儀さで職場に溶け込み、それなりに仕事を楽しみながら
暮らしていたHさん。

ところがある日、店の経営者にトラブルが起こり、4年半勤めた店を出るはめに。
手持ちのお金も底を尽きかけた頃、インターネットでびよんどネットを見つけ
事務所のドアを叩いた。

その場の雰囲気を敏感に読み取る術を身に付けているHさん
すぐに事務所の空気に馴染んでいった。
やがて自転車も手に入れ、びよんどの仲間が寝起きする場所で暮らし始める。
今では、市道清掃の仕事をやりながら、ビッグイシュー販売を続けているHさん。

「えー最初に就職した会社で受けたパワハラの苦い想いが、
ずーっと僕の中で整理のつかないまま、わだかまっています。
だから今のように、一人で気楽に出来るビッグイシューの販売や、ほとんど縛りの無い
道路清掃の仕事は上手くやっていけると思います。
でも、それなりの組織の中で、それなりの責任を負う仕事に向き合う為には もう少し時間が必要です。

うーん将来やってみたい事の一つとしては、頭の中に浮かぶ漠然としたイメージですが
学生時代から自転車が好きでサークルでもやっていたので、自転車ツアーや自転車をテーマにした
イベントなどを企画運営したみたいですね。

それから、びよんどネットで見聞きした事、ここで出会った人たちから受けた
様々な印象深い事を大事にしていきたいですね。
そして今度は逆の立場で関わる事が出来たらいいと思っています」

Hさん。今はその大きな身体と心に受けた傷を癒やす時間が 
必要な時期なのかも知れません。
しかし、いつの日か大きな身体を弾ませて、少しは明るさの見える世界に向かって
足を踏み出してください。

びよんどネットおたより 2017年5月第24号より転載【4】--ニュースで「生活保護を考える」(その3)2017年06月26日

 〈ニュース拾い読み〉

〇生活保護世帯、2ヶ月連続で減少 高齢者世帯は過去最多  (2017.5.10 朝日新聞)
今年2月に生活保護を受けた世帯は前月より516世帯少ない163万8944世帯だった、と厚労省が発表した。しかし、65歳以上の高齢者世帯は230世帯増の83万9073世帯で、過去最多を更新した、というニュース。ほぼ1年前に

〇生活保護、高齢者世帯が初めて5割超える 厚労省発表(2016.6.1 朝日新聞)
生活保護制度ができた1950年以降で初めて「高齢者世帯」の割合が50.8%となり、半数を超えた、とのニュースがあったが、低年金・無年金の高齢者が増え続けているのを背景に、この1年間で高齢者世帯が増え続けていることがわかる。厚労省の担当者は「高齢者が貧困に陥らないよう対策の検討が必要」とNHKニュース(昨年12.7)で語っていたが、その直前(昨秋)のいわゆる「年金カット法」強行採決など、安倍政治は残念ながら逆方向を向いている。

ちなみに、データが少し古くなるが昨秋発表の三鷹市の最新の統計資料では、2015年度の生活保護世帯数の内、高齢者世帯は46%。ただし、過去5年間の増加率を調べると、保護世帯数全体の増加は103%なのに比して、高齢者世帯数の増加は126%となっていて、増える勢いが突出していることがわかる。―― 一方こんなニュースも。

〇ホームレスの平均年齢60歳超す 10年以上が3割  (2017.4.5朝日新聞)
厚労省が「ホームレス自立支援特別措置法」に基づいて5年に1度実施しているホームレスの人の実態調査で、平均年齢が初めて60歳を超えた。今回の調査は4回目で昨年10月に路上で生活する約1300人に面接方式で尋ねた調査の結果だ。また、10年以上路上生活が続いている人の割合は34.6%となっている。??私たちびよんどネットは今年で10年目を迎える。これまで生活保護を申請し、屋根のある暮らしを始めるための支援をした人達は、およそ90名。生活保護の申請には至らなくても、何らかの支援、交流をして名前やニックネームで呼び合えるようになった野宿の当事者とOBは、その倍ほどにはなるだろう。

近年、若い人たちが増えているとはいうものの、私たちの経験でも、この10年間の公園回りで出会った人はやはり60代が4割で最多となっている。

―― こうしたなかで、ちょっと気になるニュース。
〇「ホームレス自立支援特別措置法」8月で期限切れ 失効か(2017.5.4産経ニュース)
国や自治体の責務を規定した同法は時限立法だが、政局にまみれた国会の6月閉会までに延長の声が上がらず失効の恐れがある、というニュース。ホームレスの人たちにとどまらず、すべての人間にとって生活の基盤である住宅を保障する政策が進まない中、ホームレスへの対応に国の責務を明記する法律もなくなるというのでは、より困難な状況の人が路上に残されて行くことになるのでは、と危惧される。